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パーマンの構成力

1はじめに・・・
  

  他の項目でも何回か言っているように私はパロディが
 基本的に嫌いだ。そんな私が「パーマン」で初めて
 パロディを書き、人の作品を使って話しを書くという事を
 し、その楽しさと苦痛を実感した。どんな作家だって
 どんなマンガ家だってたいがい最初は「真似」から始まり
 やがて自分の物を作って行く、でも「パロディ」を書く時
 の楽しさと苦痛は 自作を生み出す時のそれとは違う
 苦痛を味わい、それと同時に大本の作品の
 すごさ 巧さ おもしろさをも実感する。パロディ自体は
 人の土俵を借りて相撲を取るような行為だと思うが、私は
 「パーマン」を通して藤子F不二雄先生の胸を借りて自分の
 力量と、藤子F先生の構成力を疑似体験した。

 

もくじ


  2 作品紹介
  3 パロディの楽しさ
  4 著作権物への横恋慕
  5 パロディとオリジナル
  6 まとめ

2 作品紹介

  

  今更 私が有名な「パーマン」の作品紹介をする必要も
 ないとは思うが、案外「パーマン」の最終回や
 その後日談は知らない人が多く、藤子F先生が「パーマン」を
 苦労した作品と認識している事を知っている人は少ない。


 パーマンはずっこけスーパーヒーロー物として誕生した作品だ。
 が、作品を書き進む内にパーマンは主人公達の成長もの
 として仕上がっていく、スーパーヒーロー パーマン1号で
 ありながらクラスではパッとしない須羽ミツ夫は
 自分がパーマンだとみなに知らせる事が出来ない事から
 様々なジレンマに悩まされ、そして成長していく、こう
 かくとなんともシリアスな話しに聞こえるが、そこが
 藤子F先生が苦労し、又 素晴らしいセンスによって
 「おもしろ・おかしくも悲哀のある」作品に仕上がっている。
 主人公のミツ夫は最終回で選ばれたパーマンとして
 バード星という地球から遙か離れた星に留学することに
 なる。小学校5年生の男の子が親元を離れ、まして地球を
 はなれ遠い世界に旅立つ、いわゆる正義の味方で優等生な
 主人公がこれをマンガでやってのけてもさほど
 かっこよくもないが作中何回も書かれるようにミツ夫は
 決して優等生ではなく自分の正体を明かせないジレンマ
 誰にも感謝されない苦悩をかかえている 選ばれたパーマンと
 して名誉ある旅立ちの前夜 夜空を眺め「やっぱり行きたくない」
 と頭を抱え 出発の間際時間を止められ動かない母親に抱きつき
 涙を浮かべる そしてそれを最後に宇宙へと旅立つ
 家族は勿論 友達にも自分の正体を明かせず、「さよなら」を
 言えずに旅立つのだ。唯一 事情を知っている「パーマン仲間」に
 見送られ、ミツ 夫は宇宙へ(バード星)と旅立つ

 もう一つ 話しの大まかな筋の"なか"に綺麗に符合している
 主人公とヒロインの悩みが一緒だという事がある。
 主人公ミツ夫(1号)は近所の可愛い女の子沢田 みち子に
 好意を寄せているが、みち子はパーマン1号を思っている
 正体を明かせないミツ夫は悶々とするのだが、同時に
 同年代アイドル 星野スミレにもあこがている。ヒロイン
 パー子(星野スミレ)の正体はパーマン仲間にも秘密に
 しているのだが、実はその星野スミレで、しかもミツ夫に
 好意を寄せている。そして藤子F不二雄作品の「ドラえもん」の
 中に大人になった星野スミレはミツ夫の写真を持って
 バード星から帰ってくるミツ夫を待っている。最終回で
 パー子はミツ夫(1号)に自分の正体を明かしている事からも
 このミツ夫の写真入りペンダントを持っていることからも
 1号とパー子はお互いの気持ちを確認していると推測出来る。
 パーマンはずっこけスーパーヒーローであると同時に
 主人公の成長物語であり、大恋愛ドラマなのだ。

  

3 パロディの楽しさ

  

  今回 私が初めて「パーマン」でパロディ小説を書き
 実感したのは「パロディ」の楽しさと苦痛だった。
 楽しさとしては、その作品のキャラクターや設定を使い
 自分の書きたい物を書ける楽しさと同時に、その作品の持つ
 パワーや、設定の巧さ 構成力の巧みさ、キャラクターの
 力だった。優れた作家がよく口にする「キャラが勝手に
 動いてくれる」という言葉 今まで正直実感することは
 なかったが、「パーマン」をパロディしていて判った事の
 一つにキャラが勝手に動くという意味がある。
 好き勝手に動くという意味ではなく、設定や彼らの性格が
 きっちり出来上がっている場合 そこに小石(事件)を
 投げ込めば、その設定やキャラクターがストーリーを組み立て
 話しを進めてくれるのだ。パロディはその設定をわざと
 崩したり、誇張する事で生まれるが、崩しても誇張しても
 同様、彼らはその事件をストーリーに組み立てて
 くれる。藤子作品の世界観を崩さないように私はパロディ
 (新しい話)を作ろうと心がけていたのだが、それが甲を
 総じて藤子作品の構成力の素晴らしさ、見事さを実感できた。
 
 自作では味わえない話しが綺麗にまとまっていき、その
 まとまり方の無理のなさ、派手な事ではなく自然体な
 日常生活の中にある小さな出来事 それらの中で起こる
 出来事でキャラクター達が気がつき 成長していく様
 かっこいい台詞ではなく、なんでもない日常の言葉で
 彼らがそれをとらえ、成長していく 単純に作品を
 読んでいるだけでもそれらは読者の心に静かに深く
 沈んでいくが、パロディを書いた事で、よりいっそう
 藤子F作品の醍醐味 その構成力 巧みさを痛感できた。

 

4 著作権物への横恋慕
 パロディの苦痛
 一話書くごとに、その苦痛は大きくなる。自作でも
 勿論 作品を生み出すことは苦痛を伴う、だが、それとは
 また違った苦しみがパロディには伴うものだと、今回
 改めて実感した。すでに決められたキャラ 設定に
 新しい事件を起こすことで彼らは動いてくれる。だが
 新しい事件で新しい台詞 新たな展開で彼らは少なからず
 変化し、成長していく、藤子F先生が作った彼らは
 小さな出来事で成長していく優れた特性を持っているから
 なのだが、変化し、成長しても決して私の者ではないという
 哀しみ、いくら愛しても いくら成長させても、彼らは
 私の者ではない。いくら彼らのことを考え、彼らになって欲しい
 状態を私が書いても、それは架空な出来事でしかない。
 パロディは永遠の横恋慕の様なものだ。

 5 パロディとオリジナル

  パロディの面白さと苦痛は上記に記したが、私はパロディを
 書くことで藤子F不二雄氏のその優れた構成力とキャラクター設定
 センスを作品を読んでいるだけでは気がつかずに終わっていた事を
 実感し、自分の物に一部出来た事に気がついた。パロディを書く前の
 自作はもっと曖昧で「起承転結」や「設定」などがほとんどなかった
 キャラクターが勝手に動くという意味も、勘違いしていた。
 藤子作品パーマンを借りて、私は「起承転結」「設定」「ストーリー
 構成」「キャラクター作り」全てに置いて基本を教えてもらった。
 自作の話しがパロディを書く前と書き終わった後では自分でも
 はっきり判るほど読ませることが出来る物が書けるようになったと
 実感している。そして自作を書くことがどれだけ精神安定に役立つかも
 パロディでどんなに面白い自己満足がいく話しが書けても、
 オリジナルで自己満足がいく話しが書けたのでは大きな違いがある。

6 まとめ 

  
  パロディは邪道だと思っていたし、今でも極端な事を
 言うとそう思っている。でも、優れた作家の作品を土俵に
 新たな話しを書くと言うことが、こんなにも自作に役立ち
 自作に何が欠けていたかに気がつけるとは思っても見なかった。
 「パーマン」という作品はすごくパロディしやすい作品でもある
 単純な誰でも判るキャラや設定等もさることながら、
 作中書かれていない余白が多く存在する話しなのだ。


 作品紹介でも少し述べたようにミツ夫(1号)とパー子(スミレ)の
 関係がパーマン終了後 別作品「ドラえもん」で描かれている事
 その「ドラえもん」に登場したスミレの表情や口調からは
 ハッキリ ミツ夫とスミレは特別な関係であると推測されるも
 藤子F作品としてそのような課程はまったく描かれていない。
 パーマン1号が留学後 青年パーマン(バードマン)ミツ夫は
 現代の地球でどうなるのか?アニメの方に至っては
 ミツ夫本人の代わりをしているコピーロボットは他の女の子と
 特別な関係として描かれているから、なおのことオリジナルの
 ミツ夫はどうなってしまうのだろう?あるいはコピーとその
 女の子(ユキちゃん)はどうなってしまうのだろう?
 パー子・パーヤンがどうやってパーマンに選ばれたかも、
 
 作中語られていない。そのミッシングリングとも言うべき
 余白をつないでみたい。そう思わせる作品なのだ。
 もっともいくらそのミッシングリングをつなげる話しを書いた
 所でやっぱり横恋慕にしかすぎないのだけど・・・。

 最後に私のわがままから私が書いた「パーマンパロディ」を
 全て引き取りweb上にアップしてくださっているリンク先
 「朝日ヶ丘スミレ団」管理人おっけっ!!さんに心からの
 感謝をこめてこのコーナーを終了させていただきます。

  






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